尼崎市で起きた連続不審死事件の現場を巡る為に2013年~14年頃、尼崎市内に何度か足繁く通っていた時期があり、その時に尼崎市内のレトロ喫茶にも何軒か入り浸っていた。阪神尼崎駅近くに宿を取っていたのだが、午前中に取材を一段落させてから街中をうろついていると突然目にしたのが、建物全面が一昔前の甲子園球場を髣髴とさせる程びっしりと蔦に覆われた異様な外観の「純喫茶 蜜」であった。
この外観だけでも充分怪しいのに喫茶店の名前も「蜜」とは意味深過ぎてなんだかもう尼崎って奥深すぎますよね。何かと不幸な出来事が多い街だし、不幸そうな低所得者層も多い土地柄だけに案外店のネーミングも「人の不幸は蜜の味」から来ているのかも知れません(もしそうじゃなかったらごめんね)しかも喫茶店からすぐ東側はラブホ街というロケーションもまた意味深。見た目がアレなので入るのを躊躇いそうになる…訳もなく、即入店。
すると店内は打って変わって上品な洋食屋のそれといった落ち着いた佇まいの空間が現れて、店内各所に額縁に入れた絵が飾られている。ちょっとした画廊喫茶にもなっているらしく、絵画作品の一部は気に入れば買って帰れるのだとか。
コーヒー一杯飲んで帰るだけ、というのも良かったのだが、昼前で腹が減っていたのもあったので、妙にフード系メニューが充実しているこの店でカレーうどん定食を注文。このシックな純喫茶の店内で、まさかのカレーうどん定食である。このアンバランスっぷりが関西ならではのフリーダムだろう。他の客が居たら顰蹙モノだったかも知れませんが客は我々以外殆ど居らず、ズルズル下品に音を立てて頂きました。
ちなみにこの純喫茶蜜、尼崎市の壁面緑化コンテスト(2009年)最優秀賞を受賞したのだそうです。